日本は治安が良いとされた昭和40年代(120万前後で推移)と比べ、侵入犯罪は依然として約1.5倍を超える水準となっていて深刻な状況にあります。 家族の安全と財産を守る防犯対策を考えるためには、侵入犯罪の現状を知ることが非常に大切です。
平成10年から平成15年にかけて侵入犯罪の増加はすさまじく、右肩上がりで上昇していました。当時もっとも話題になったピッキングやサムターン回しはメーカー側の対応とユーザー側の防犯意識の高まりや、ピッキング法による取り締まりの強化によって平成16年以降次第に減少しはじめました。平成18年は12万23件(前年比-16.0%)と減少していますが、一日当たりで考えると約329件と、未だ多くの住宅がドロボーの被害に遭っているのです。
侵入犯罪の手口の第1位はガラス破りです。
これは戸建、マンション共通です。
カギだけでなくガラスの性能アップも図らないと防犯対策的には万全とは言いがたいのが現状です
◆ ガラス破り
クレセント(窓ガラスの錠)の周辺を破損し、そこから手を入れてクレセントを回して侵入する手口で、通常のガラスであれば、わずか10〜15秒で破損できます。近所への買い物やペットの散歩など、わずかな留守の間でも安心できません。
ガラスの種類ごとに、バールによる打ち破り実験の状況を説明します。
防犯性能と防火性能は異なるので、防火性能が優れていても防犯性能が低いことがあります。
都市防犯研究センターの窃盗犯被疑者調査で「5分以上破壊・工作しても侵入できなければあきらめる」と答えた人が7割に上ることから、警察庁、国土交通省、経済産業省、建物部品関連5団体が中心となって設立した「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」により5分間侵入を防ぐことができるものを防犯建物部品と認定し、平成16年4月1日に公表されました。以降認定されたものにはCPマークがもれなく表示されています。リフォームする際の商品選びには見逃せないポイントといえますので覚えておきましょう。
防犯性能の高い建物部品として認定された商品には上記マークが表示されています
リフォームで防犯強化を考える場合は、家全体を見回し側面や裏側に死角になっている部分があるかどうかチェックし、弱い部分を補強するようにしましょう。
玄関ドアのように家全体の印象を変えるような効果のあるところに費用をかけ、裏手の小さな窓は面格子をつけるだけの実用重視のリフォームにしてメリハリのきいた予算配分で無理のないプランを立て効率的なリフォームを実現しましょう。
門扉は街並みの景観と防犯を考え、背の高い威圧感のあるものは避けて、侵入犯のいやがる見通しのよい縦格子の門扉がおすすめです。現在ブロック塀や生け垣に囲まれているなら見通しのよいフェンスに替えた方がよいでしょう。 フェンスの内側に間隔を空けて鉢植えを並べると、見た目も美しく侵入されたときに鉢が倒れる音がして警告にもなります。
車上狙いや車の盗難を防ぐため、あるいは侵入者が身を隠す場所にならないようにガレージには見通しのよいシャッターの取付をおすすめします。
ガレージやエアコンの室外機の位置が二階へ侵入する足場にならないように気をつけましょう。すっきり片づいていて、庭にごちゃごちゃしたものが出ていないような、いい意味で住み手の緊張感が感じられる家は防犯意識が高く見え、侵入しにくい家になります。
また、敷地内の装備としてはアラームの付いた防犯灯が効果的です。
入手口は大別すると次の4つになります。
・窓ガラスを破って開錠する
・施錠していないトイレの小窓などから侵入する
・合鍵を使ってドアを開ける
・ドアの錠を破る
一番多いのは掃き出し窓のガラスを破ってクレセント錠を開ける侵入方法です。
これを防ぐためには、電動雨戸・シャッターなども効果的です。また、ガラスを割れにくい防犯ガラスに替えて、補助錠をつけるのが一番です。